2006年10月14日

ワーキングプアと「偽装請負」 

昨日の参院予算委員会で共産党の市田さんだったかと思いますが、「偽装請負」に関連して質問していました。
(車のラジオで聞いていたので途中聞いていなかった箇所があるので間違いがあるかもしれません。)
共産党の主義・主張は賛成できませんがよっぽど社民党の福島瑞穂よりは骨太の質問内容でした。
ただ、残念なのは大企業攻撃のツールに持っていくとするところです。

市田さんが指摘していましたが、メーカーの工場の正社員は時給3,000円(ボーナス、社保を含む)相当のコスト、これを派遣会社から時給2,000円相当のコストで派遣社員を受け入れているとのこと。派遣会社は労働者に時給1,000円支払っているとのこと。これにより、メーカー、派遣会社ともに1000円ずつ利益を上げている。
この現実はメーカー、(特に)派遣会社が搾取している印象を受けます。

偽装請負が何故コスト削減につながるのか?
@社会保険料を削減できる−社会保険料は労使折半ですが、元々は給料も含め企業が負担しているわけです。社会保険料を負担することは給料の支払額の120%がコストになってしまいます。
A消費税が節税できる−人件費は消費税がかかりませんが、外注費は消費税がかかります。したがって外注費で負担した消費税相当額は売り上げにかかる消費税から控除できます。

じつは、この偽装請負は労使合意の上で導入しているケースも多いのです。
従業員は有限会社を設立しこれまで給与として受け取っていた報酬を、外注費として受け取るわけです。
有限会社の場合新設3年間は免税業者のため、消費税5%が益税と収入に上乗せされるからです。

今回共産党が指摘した事例は上のケースではありませんが。
この問題は、労働法制が労働者の権利を保護しているため、企業としては柔軟な給与体系がとれないため、派遣業者を一枚咬ませるわけです。

仮に派遣法制を強化した場合どのような状況が起こるかといえば、国内の雇用環境のパイの縮小とさらなる中小企業の経営悪化が考えられます。
昨日の委員会答弁に寄れば「派遣社員」の場合継続して1年以上勤務した場合、本人の意思があれば「正社員」として雇用しなければならないそうです。そのため「偽装請負」とし、企業がその義務から解放されるそうです。
ということは、企業としては気軽に「非正規社員」も雇用するのを抑制する可能性が出てくるわけです。
また、大企業は生産も販売もグローバル化しているため、簡単に雇用コストの低い海外へ拠点を移すことは簡単です。
したがって、大企業はそれほど影響を受けることはありません。
しかし、中小企業は簡単に海外へ拠点を移すほどの内部留保も資金調達手段もないため、柔軟な雇用ができなくなり経営の悪化を引き起こすのです。

このあたりを政治家は「大企業攻撃」の視点ではなく「中小企業」の立場からとらえていただきたいと思います。

(関連記事)
偽装請負:「クリスタル」子会社に業務停止命令 大阪
 厚生労働省大阪労働局は3日、実態は派遣労働なのに請負契約を装う「偽装請負」を繰り返したとして、労働者派遣・業務請負会社「コラボレート」(大阪市北区)に対して、労働者派遣法に基づく事業停止命令と事業改善命令を出した。同社は人材派遣大手「クリスタル」(京都市下京区)の100%出資子会社。偽装請負による事業停止命令は全国で初めて。

 事業停止期間は、偽装請負が具体的に確認された姫路営業所(兵庫県姫路市)が4日から1カ月間で、同営業所以外の全83事業所が2週間。停止命令は新規事業に限定し、現在派遣中の労働者は継続して働くことが可能とした。また▽全請負事業を総点検し、偽装請負があれば是正する▽再発防止措置を講じる▽労働者派遣事業制度の理解の徹底を図り、順法体制を整備する−−などの事業改善命令を出した。

 同労働局は今年2月、兵庫県加古川市にある製造工場でコラボ社姫路営業所による偽装請負を確認したが、同社は5月に「偽装請負ではない」と報告した。また、コラボ社が昨年7月に吸収合併したグループ内の労働者派遣会社「タイアップ」に対して、東京労働局が昨年6月、事業改善命令を出したが、守られていなかった。

 大阪労働局はコラボ社が数回の偽装請負の発覚にもかかわらず、改善しなかったのは悪質だとして、行政処分に踏み切った。親会社のクリスタルの責任について、会見した浅野浩美・需給調整事業部長は「指導・監督する立場ではない」として、言及しなかった。

 コラボ社の浅井功一郎社長は「命令を真摯(しんし)に受け止め、今後再びこのような事態が発生しないよう、業務改善に向けて取り組んでいく」とのコメントを発表。製造請負業務から撤退し、自社工場での生産受託に転換する方針を明らかにした。【久田宏】

 ■ことば「偽装請負」 本来の請負は、請負会社がメーカーなどから発注を受け、独立して仕事をするが、偽装請負は「請負」と偽って、請負会社がメーカーに労働者だけを送り込み、メーカーの指揮下で仕事をさせる。事業主責任があいまいで、職業安定法や労働者派遣法に抵触する違法行為。

毎日新聞 2006年10月3日 21時08分 (最終更新時間 10月4日 3時19分)


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posted by @隼人正 at 16:40| Comment(3) | TrackBack(0) | 行政 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
偽装請負と税務について検索していてココへ来ました。
人件費を物件費に仮装している、という面はありますよね。これって、税務署は損金不算入にしますかねね?
当局が積極的に税務調査に入れば、きちんと雇用関係を結ばせるインセンティブになると思います。ワーキングプア問題にも改善になるのでは。
Posted by UTP at 2006年10月22日 09:19
UTPさんコメントありがとうございました。

>これって、税務署は損金不算入にしますかねね?

科目訂正しても「外注費」→「人件費」として損金算入はそのままではないかと。
ただし、消費税の控除が否認されるという流れと思います。
Posted by @隼人正 at 2006年10月22日 11:20
なるほど。ありがとうございます。
…しかし、今度は源泉徴収の問題が生じそうですね。う〜む、やはり積極的に税務調査に入るか、会計士がしっかりするか、どちらかが必要と思います。
Posted by UTP at 2006年10月24日 10:34
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